羽島 貝(はじま かい)
<経歴>
1973年 東京に生まれる。
2014年 詩集『鉛の心臓』(コールサック社)を刊行。
ブログ 「しのしょうにんのうたううた」
URL http://shinoshounin.blog.fc2.com
<詩作品>
路上のスノウマン
プラットホームに
舞い落ちてきた雪は
幻想的だろう?
スノウマン!
けれどニューヨークの
路上生活者にとって
それは危機的なピンチというやつ
なんだろう?
スノウマン!
だけどお前の口は開かない。
お前を形づくるものが
奪ってきた命と
与えてきた夢との
圧倒的な質量差は
君の肩に舞い落ちた
ひとひらの雪が
瞬時に溶けてゆくさまのようで
お前自身と
この自分が吐く息との
相対的で絶対的な白さに
どうかチャンスを!
楽園
もしも
自分の住んでいる場所が楽園で
ささやかなりとも所有する事象があるのならば
確かに変化などは
生きてゆく上で必要ないだろう。
だが
もしも
自分の住んでいる場所が地獄で
何一つ持ち物と呼べるような物すらを
持っていなかったとしたならば
変化を起こす以外に
生きてゆく術はない。
失うことを恐れると云うことは
幸いなる哉。
それはお前の横にあると云うことだ。